
笑顔で生きていって欲しいものね
当ラボは2007年親子のコミュニケーションスキルを学びたいお母さんのための学びの場として設立されました。
それ以降、子どもの不登校や発達障害でお困りの母親の立場に立ち、役に立てる知識を提供し、相談できる場として、発展してまいりました。
当ラボは、家族が健全さを取り戻し、その中で子ども達が安心・安全に健やかに成長することを目指して、貢献いたします。
2007年8月
当ラボのはじまりは、代表である谷田ひろみが自分自身の子育てに悩み、コミュニケーションスキルのインストラクターの資格を取得した事でした。
これまでコミュニケーションとは、自然に身につくものであり習うものではないと考えていた常識が根底から覆され、あたかも方程式のように、用意されたフォーマットに自分の気持ちや欲求を入れ込んで相手に伝えるだけで、相手との、関係性を損なうことなく、お互いに、理解し合えるコミュニケーションを取る事ができるスキルに出会い、これをもっとたくさんのお母さん達に知ってもらいたい。お母さんと子どもの笑顔をもっと増やしたいという思いで、始まった活動でした。
2008年10月
コミュニケーションスキルを一通り学んでも、そんなに簡単に身につくものではありません。そこで、学んだ知識を身につくところまでサポートするために、親子の会話を記録を読み合わせながら、母親の心のメンテナンスとコミュニケーション指導を行う母親ノート法の個別セッションを始めました。
2016年4月
コミュニケーションスキルをNVCを基本にしたコミュトレにし、母親ノート法とも合わせてグループで学ぶ場を提供。
個別セッションとも合わせて、お母さん達がお互いにサポートし合い、共に成長していく場をご提供してまいりました。
2022年12月
活動開始から14年、当ラボのご提供する相談、並びに、講座をご受講くださった方が500人を突破しました。
又、この時期に、活動を社団法人化し、会社名はF-NVC協会といたしました。
これだけ多くのお母さん達が、一緒に泣いて、一緒に笑って、苦楽を共にする場を持てている事は、皆さんに感謝しかありません。
そして、この時期より、お子さんを対象とするカウンセリング「ちょこっと心理学ラボ」も開始いたしました。
子育ては決して一人でするものではありません。
これからもたくさんのお母さん達に、安心・安全に学び、集える場をご提供していきたいと考えています
「不登校に悩んでいる自分の子どもを元気にしたい!そのためにはコミュニケーションをちゃんととりたい」という最初のきっかけから、仲間が広がり、母親ノート法やNVCを取り入れ、互いに支え合うシステムをつくるまで、ファミラボのはじまりからここまでを、ライターの友人にインタビューしてもらいました。
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まずは、F-NVC協会の前身であるファミリーコミュニケーション・ラボ(ファミラボ)を始めた「きっかけ」を教えて下さい。
谷田
夫の仕事の関係で家族でタイに駐在していたとき、当時中1だった娘が、現地の日本人学校に行けなくなったんです。正直、私は「まあ、えんちゃう」ぐらいの気持ちでした。学校には行かれなかったけれども、塾には行っていたのであまり心配しませんでした。ただ、娘自身は、学校に行けないことで苦しんでいたと思います。そして、中3になるとき「日本に帰りたい」というので一緒に戻ってきました。
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そして、ひろみさんは、コミュニケーションの勉強を始めた?
谷田
最初に娘が学校に行けなくなったとき、「どうしたら、この子が元気になるかな?」というのを考えて、まずは、コミュニケーションの勉強を始めました。
谷田
勉強を始めたのとほぼ同時に、私自身が自分の悩みを話す場の必要も感じました。当時インターネット上にベネッセの掲示板があって、そこで不登校のことで悩んでいるお母さんたちと知り合いになったのですが、不登校のこと”だけ”を話せる掲示板がなかった。普通に親子関係の悩みを書き込む場所だと「そんなん、甘えているだけ」「学校に行かさな、ダメ!」とばかり言われて居心地悪くて。
なので、不登校の子を持つお母さん仲間4人と一緒に、「不登校児の親専用」の掲示板を、当時流行っていたSNSのミクシーの中につくりました。そうしたら、あっという間に300人ぐらいのインターネットコミュニティになって。そこで、私が当時学んでいたコミュニケーション方法(親業)のことを紹介したら「教えて」「学びたい」という声があがったので、インストラクターの資格をとったこともあり、伝え始めました。
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周囲に頼まれて教え始めたのですね。
谷田
そうなんです。周りに押し出された、という感じですかね。でもね、すぐに「型通りに教えているだけではダメだ」ということがわかったんです。
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どういうことでしょう?
谷田
私が出会う保護者のお子さんは、もちろん不登校が多かったのですが、話を聞いてみると、ほとんどの方が発達に特性があるようでした。当時はまだ「発達障害」という言葉は一般的ではありませんでしたが、私が相談を受け続けるには、本格的に勉強する必要があると思って、大学に編入しました。
ー
思い切りましたね。
谷田
お母さん達の真剣さは私も痛いほどわかるし、子どもたちの未来にも関わるので、いい加減なことは絶対にしたくない気持ちが大きかったです。
大学で心理に関して学びはしましたが、カウンセリングができる実力はないなと思って、さらに産業カウンセラーの資格もとり、カウンセリングの基礎や傾聴を学びました。こうしてコミュニケーションスキルを教えることと、実践のための「母親ノート法」の2本柱の活動になりました。
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「母親ノート法」を取り入れたのは、どうしてですか?
谷田
実は、私ができなかったからなんです。母親ノート法は、子どもとの会話をノートに記録して、「点検者」と呼ばれる先生に見てもらいながら子どもへの対応を振り返ります。基本は、とにかく子どもとの会話を減らすこと、黙ること。具体的には、指示、アドバイス、提案などをしない。「宿題したら?」もダメ。自分の言いたいことは言わずに、子どもの言うことを「そうだね、そうだね」と聞くのが大事と教えられます。
ー
それは難しいですね。お母さんたちは、お子さんが心配なのですから。
谷田
すぐにできるものじゃありません。「もどかしい〜!」と悶えながら、子どもへの声掛けをなんとか減らしていく。ここで言うか、言わないか、どうする?と自分に問い続けるのはほんとうに苦しい。
私は、いらんことをつい言ってしまう。でも、これができたら、不登校だった娘が元気になるだろうなと思って、続けていました。そうこうするうちに、その弟、息子の方が、めっちゃ元気になったというか、コミュニケーションがうまくなってしまったのです。
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どんなふうに?
谷田
例えば、小学校6年生ぐらいの頃、お小遣いの使い方で揉めたことがあるんです。「お母さんはぼくがお金をたくさん使うのが嫌なんやなくて、しつけに悪いと思っているんやろ?」って言ってきて。「そうそう」と答えたら、「いくらぐらいやったら心配せーへんの?」と聞かれたので「月3000円ぐらいかな?」って言ったら「わかった。その範囲で収めるわ」という感じで。
ー
息子さんが会話をリードしていますね。そして彼は、金額交渉よりもお母さんの「心配」にフォーカスしている!
谷田
そうなんですよ。私が皆さんにお伝えしているコミュニケーションを、息子が率先してやるようになって、なによりも、私が楽になりました。
谷田
その後、2012年か13年だったと思いますが、NVCに出会いました。親業のトーマス・ゴードン博士は、NVCの創始者であるマーシャル・ローゼンバーグ博士と兄弟弟子で、親業のテキストの中でもNVCについて触れられていたので、もともと興味は持っていたんです。ちょうど大阪でNVCのワークショップがあって、講師は、南米・コロンビアのホルヘ・ルビオさんでした。
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ホルヘですか! かなり、型破りだと思ったのでは?
谷田
いえいえ。ホルヘの言っていることは、ほんとにわかりやすかったです。親業も、観察して感情に着目するところまでは同じなのですが、NVCでは、ニーズの概念や、ニーズにつながって、リクエストをする、行動に移すということまでが体系化されている。これは、深い、使える!とひらめきました。
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具体的にはどんなところを「深い」と思ったのですか?
谷田
母親ノート法で、お母さんたちに「黙りましょう」と伝えると言いましたが、それって、結局、自分で自分を観察することになるんです。最初は「子どもが、子どもが」って外側を見ていたのが、自分はどうする? どうしたい? と内側に矢印が向いてきます。
それを導くのに、NVCの「観察」「感情」「ニーズ」「リクエスト」という4つの要素がぴったり合います。とくに、ニーズは大きいですね。自分につながる感覚を持てます。自分につながってから言葉を出すから、受け取る方も受け取りやすいし、自分自身につながりやすい。リクエストですよね。リクエストには、相手へのお願いもあれば、自分へのリクエストもあります。NVCでは、リクエスト、つまり「こうして欲しい」「私はこうしたい」と具体的に伝えるから、変化が起こります。
NVCの学びでは、自分にもニーズがあるように相手にもニーズがあると知ったことも、私にはすごくインパクトがありました。それからは、ちょっと嫌だなと思うことをしてくる人にも、その人なりのニーズがあるんだと思ったら、いったいどんなニーズなんやろ?って興味を持って相手を見るようになりました。そして、ファミラボのコミュニケーションの基盤としてNVCを全面的に取り入れることにしたんです。
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変化はありましたか?
谷田
ぴったりとハマりました。子どもをどうにかしようと思っても、自分でないものを変えるのは無理があります。でも、NVCの自己共感、つまり、自分の感情やニーズに目を向けて、自分自身が変わっていくと、周囲も自然に変わっていきます。
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どんな方たちに伝えていきたいですか?
谷田
やはり、不登校の悩みをもっている子どものお母さんたちです。学校に行けないのは、子どもにとってもある種のトラウマ体験。だから、ある程度長いスパンでみていく必要があります。傷つきやすい子の親御さんってやっぱりたいへんなんですよ。私たちはグループワークも取り入れて、お互いに支え合える仕組みをつくって活動を続けています。
「こどもたちの未来を大丈夫にしたいお母さん」に、ぜひ一緒にやっていきましょうって言いたいです。お母さんが自分自身につながることができれば、子ども自身も自分と向き合うことができるようになります。すると、不登校という悩みがあっても、その期間にも、親子の間で愛着をしっかりと育てることができます。愛着って、人間を信頼する力のベースです。その先に、みんなが笑える未来が待ってますよ!